メンタルにゅーすVol.86

 

メンタルにゅーすヒエダ

 

統合失調症

上手につき合う

 

2011年  Vol.86

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関 編集 SAM

Tel(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL   http://members.jcom.home.ne.jp/s-cil/

 この間、本屋に行ったときに見つけたものです。とても分かりやすい本でした。

 

     「統合失調症」

      その新たなる真実  岡田尊司(おかだたかし) 著

                PHP新書 760

 

私自身、当事者として統合失調症を抱えて生きていく生き方が私は「対処」、岡田氏は「上手につき合う」と同じような考え方をする人なので買って読みました。この本の終わりに

次のようなタイトルで書いてあったものを抜粋します。

 

  「おわりに 統合失調症と上手につき合う」

 

今や統合失調症は克服できる病になろうとしているが、同時に、油断のならないこじらせ方をすると厄介な病気でもある。初回エピソードでは、7〜8割の人が寛解に至るが、再発を繰り返すにつれて、その割合は顕著に下がっていく。今、幸運にも回復を遂げているならば、その幸運を手放さないように、しっかり治療を続けることである。なかなか症状が取れずに困っている人も、希望を捨てることはない。幻聴や妄想のような症状が多少あっても、社会で問題なく生活できている人はたくさんいる。症状があるかどうかよりも、それに左右されないことが大事なのである。

 医学は、日進月歩である。本文で書いたとおり、統合失調症のメカニズムもかなりのところまで解明されてきている。統合失調症は症候群であって単一疾患ではないため、全容がすっかり明らかになるにはまだ時間がかかるものの、肝心なところがわかるのはそう遠くない未来だろう。メカニズムの解明にあわせて新しい治療薬の開発も進められている。より根本的に作用することで、より完全に症状を取り去り、より高い回復をもたらしてくれるに違いない。

 ただ同時に統合失調症の発症や回復には、環境的要素も重要であることを理解していただけただろう。いくら薬物療法が発達しようと、ストレスが大きすぎたり、適切な居場所がなかったり、いつも非難や否定的な言動に曝されていれば、また病気に取り憑かれてしまう。本人にあった無理のないライフスタイルを身につけ、居心地のよい関係を築き、その人なりの役割を持ち、人間としての尊厳が高められるように、本人も周囲も徐々に努めていこう。そして何よりも、健康で明るく笑って、楽しく生きること。見せかけの豊かさではなく、本当の意味で豊かな人生を手に入れよう。家族の方々は、少し肩の力を抜いて、冷静に少し距離を置いたところから、本人を見守って欲しい。

それにしても、せっかくよくなったというのに、就職が上手くいかず、それが家庭内での摩擦の原因やストレスになり、再発してしまうというケースも多い。それは本人の努力だけではどうすることもできない社会の問題でもある。仕事をするということは、統合失調症の人の回復や安定においても、大きな鍵を握っている。抜本的な対策や支援が求められる。この病に悩むすべての人の回復と幸せを祈りつつ、筆を擱きたい。

 

201081

岡田尊司

 

【編集後記】

 今から29年前、私は山口大学付属病院に上司に連れて行かれ、主治医に「統合失調症」と診断されたとき、もう私の人生はこれで終わりだと思いました。自分の頭の中が真っ白になってしまいました。すぐに、入院が必要だとのことで隔離室(保護室)に4週間くらいいました。「保護室」、今でこそ聴こえはいいのですが、寝る・食事をする・排泄をすることが一部屋のなかでする檻で、状態が安定するまでここで過ごすところです。排泄物の異様な臭いで食事を戻しそうになることがあります。状態が悪いからと言ってひどすぎる措置です。尊厳も何もない。

 私が、メンタルにゅーすで「病気と障碍に対処する」とよく使う言葉があります。自分で勝手に考え出して多用しています。岡田氏の「統合失調症と上手につき合う」とは、またよく分かりやすく表現しているなと思います。完璧に私の負けです。

 皆さんの主治医は、いつも自分の担当の患者さんが地域社会生活を上手に過ごしてくれるように望んでいることと思います。まずは、入院して様子を見て薬を調整して落ち着き安定してくれば、退院となります。主治医は通院・服薬を遵守してくれることを望んでいます。皆さんが通院・服薬を止めてしまえばまた調子を崩し入院することになります。すべては、通院・服薬を守り昼夜逆転の生活をせず、規則正しい生活をすることです。遵守してくださいね。今、病状が安定しているが社会生活するのに家族や親族にサポートしてくれる人がいないばかりに入院(社会的入院)している人が全国に7万人くらいいます。こういった人達も社会復帰につなげていくことも大切なことです。精神科病院は必要なのでしょうか。欧州のイタリアは国内の精神科病院をすべて解体しました。日本も、そのようにできないのでしょうか・・・

トップページに戻る