メンタルにゅーすVol.88

 

メンタルにゅーすヒエダ

 

障碍者割引

(交通機関)

2011年  Vol.88

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関 編集 SAM

Tel(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL     http://members.jcom.home.ne.jp/s-cil/

 私は、生まれてこの方52歳になるまで生きてきました。23歳で統合失調症に罹患しました。当初、私は統合失調症という病気にうちのめされてしまいました。それから29年間かろうじて生き延びてきました。現状として、病院や施設が精神障碍者を社会復帰できるように手厚いサポートを始めてきました。まず、精神保健福祉法が1995年施行されて、精神の当事者は、少しずつ地域社会で生活を始めてきました。精神保健福祉法で精神保健福祉手帳ができました。この手帳には、2006年(平成18年)から写真を添付するようになりましたので本人確認が出来ます。山口県では精神障碍者は精神保健福祉手帳の提示でバスのみの交通機関でしか障碍者割引がありません。以前、精神関係の雑誌で、「精神障碍者も本人確認のために写真が添付されていないから飛行機、電車、船の運賃が障碍者割引にならないのだ。」と誰か言ってました。現在では、精神保健福祉手帳に写真添付されていますが、どう申し開きをするのでしょうか。

 今でこそ、障碍者のお話を役所では、きちんと聞いてくれます。まだ一般社会では身体障碍者と介助者で外出するとまず声をかけられるのが介助者ですね。何故なのか、健全者の障碍者観が変わるのにはまだまだ時間がかかりますね。身体障碍者が地域社会で自立を始めました。次に知的障碍者の親たちが動き始めました。最後に精神障碍者が自立を始めました。障碍者手帳を調べてみました。身体障碍者手帳は1949年、療育手帳は1960年、精神保健福祉手帳は1995年と手帳制度が施行されました。身体で62年、知的で51年、精神で16年手帳の歴史があります。手帳制度は精神と較べて身体・知的では歴史が違いますね。

 障碍者自立支援法は、200641日施行されました。この法律は身体・知的・精神の3障碍が対象の法律で、私はこのとき精神障碍者も飛行機、電車、船の運賃が障碍者割引になると思っていたのに、精神はバスのみの障碍者割引だけでした。同じ障碍者なのに身体と知的は、飛行機・電車・船・バスなどのあらゆる交通機関で障碍者割引がありますが、新しい総合福祉法で精神の当事者も身体・知的の当事者と同じようにあらゆる交通機関で障碍者割引ができるように望みます。いままで、私たち精神障碍者は、社会の中で差別・偏見・汚名を受けてきました。何度も煮え湯を飲まされました。これは、身体・知的障碍者たちも経験してきたことと思います。精神の制度では、障碍者手帳が運用されて16年が経過しました。同じ3障碍の障碍者なのに、身体・知的障碍者はセットで制度確立されてきて、精神障碍者は蚊帳の外であることに我慢できません。何か納得がいく理由があれば教えて欲しいのですがだれも説明不能です。

 精神障碍者だけ交通機関への障碍者割引が無いのは何故か、私は調べました。例えば、船会社やJRに聞いてみました。「そのような制度になっているので」と合理的な理由を教えてくれませんでした。その他には「お上(国土交通省)に聞いてくれ」と無碍に話すだけでした。船会社にしてもJRにしても航空会社にしても「身体と知的障碍者対象のサービスですので」というだけです。

過去・現在、健全者たちは、「私たち精神障碍者は話をしても正しく受け答えができない。」と思いこんでいる人もいれば、「怖い。」「何をするか分からない。」「何か事件を起こしたとき誰が責任を取るのか。」とか思っています。私は、偶然に統合失調症に罹患しました。

それについては、今では病気と障碍を受容して生きています。人によって、受容できるまでに時間がかかったりしますし、受容できないまま、一生を終わる人もいるかもしれません。私は病状も落ち着いて地域社会生活を送っています。私は、健全者が怖くてたまりません。

私は車を持っていますので、電車を使う機会は全くありません。めったに仕事で出張はありませんので飛行機、船も新幹線も利用しません。私は全く違う環境・他人の中では、幻聴と妄想が活発になります。それで、普段から車を使う機会が多いです。電車、バス、飛行機・船にも一人で乗ることができません。病気と障碍の難儀な残存症状です。

現在、私は車を運転するときは、幻聴と妄想の残存症状はありません。車を運転するのが好きなことがありますが、運転に集中しているので幻聴と妄想はありません。それでも私はコースを選びます。静かな道のある田舎のドライブが好きです。しかも、クラッシック音楽を聴きながらドライブしています。眠くならないかと友人に聞かれますが眠くならないです。ドライブでストレスの発散をしています。運転に集中しているのか、何故か幻聴・妄想はありません。

【編集後記】

 障碍者割引の不平等のことをお話します。現在、身体と知的障碍者には、あらゆる交通機関で障碍者割引があります。精神障碍者はバスのみの障碍者割引しかありません。

精神保健福祉手帳の歴史が、身体・知的障碍者の手帳の歴史とは断然と違います。逆に言えば、長い歴史の上で手帳制度が成立したのだと思います。ですから、焦らず・頑張らず・無理しないで制度改革運動を続けていかないといけませんね。身体障碍者手帳が一番歴史があり、昭和24年に手帳が制度化されました。戦争が終わって、お国のために働いた傷痍軍人(戦争で怪我をした兵隊の障碍者)が猛然と運動したから、手帳制度を勝ち取ったのではないでしょうか。私は、精神障碍者のバス以外の交通機関の障碍者割引が実現するのは50年から100年くらいかかるのだろうと思います。しかし、私たち精神障碍者は、自分たちだけでなく後に続く後輩たちのために運動をしていかないといけません。

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