メンタルにゅーすVol.89

 

メンタルにゅーすヒエダ

 

非定型抗精神病薬

私の服薬剤(リスペリドン)

の効き目、感想

2011年  Vol.89

CIL(自立生活センター)下関発行

ピア・ハート下関 編集 SAM

Tel(083)-263-2687

FAX(083)-263-2688

E-mail  s-cil@feel.ocn.ne.jp

URL   http://members.jcom.home.ne.jp/s-cil/

 私は、10年前援護寮ヒエダに入寮してすぐに、セレネースから非定型抗精神病薬のリスペリドン(リスパダールともいう)に薬剤変更しました。その当時の主治医からは副作用が少ない良く効く薬があると聞いてリスペリドンへと薬剤変更をしました。

実は、薬剤変更で淡い期待をしていました。薬剤変更で私に残存した症状の幻聴と妄想が消えるかもと考えていました。今でもそうですが、人の多いデパート・銀行・街中に入ると幻聴と妄想が起こるので困っていました。3年前の入退院から幻聴と妄想は日中・覚醒時ずっと継続してその症状があります。リスペリドンの服薬で手のふるえ・目が釣る(眼球上転)などの副作用の症状は、薬の調整で今はそんなに気にならなくなりました。ただ、リスペリドンの副作用で、抗コリン作用の便秘がありましたので、下剤を服薬していました。私の知り合いの男友達に抗精神病薬を服薬してから便秘がひどいと言う人がおり、私からは非定型抗精神病薬の副作用だから主治医に下剤を処方してもらったらいいですよとアドバイスしています。ところが、女性はというと便秘のことを言い出せないようです。それで痔になって手術した人を知っています。まさか非定型抗精神病薬と痔に因果関係があるとは当事者には思いもよらないみたいです。

 私はリスペリドンの服薬で幻聴と妄想は消えませんでしたが、イライラすることが減ってきました。また、幻聴・妄想に耐えられるようになりました。そして、自分自身で調子の悪くなるのが分かるようになり、早めに頓服を使い、病状のコントロールすることが出来るようになりました。統合失調症の勉強をすることで、この症候群の病気と障碍に対処することなどを自分で工夫しています。まあ人間の考えることなので、対処は本読み、呪文(「大丈夫、大丈夫」と唱える。)、ウォークマンで音楽を聞く、散歩、安静にして横になる、など様々な対処をしています。

私が、統合失調症になってから勉強して役に立ったのは制度です。制度は今の私の仕事(障碍者の自立生活支援・相談業務)などで役に立っています。そういえば、私は統合失調症に罹患して29年が経過しました。私は、下関に来てたくさんの人たちに支援を頂きました。また、私が通院する稗田病院の職員には、お世話になりました。私たち当事者は適当な環境と理解・配慮などで地域社会生活が可能なことは、私自身実感します。私は病気の様々な経験で仲間の気持ちも分かりますし、どのような支援が必要なことも分かります。当事者の皆さんは何か困ったことがあれば、病院のPSW(精神保健福祉士)やCIL(自立生活センター)下関へ相談して下さい。私どもは、まず当事者の方が足を向けてくださらないとどのような支援が必要なのか分かりません。CIL下関では当事者のピア・カウンセラーがお話を伺います。まずは、勇気を出してお立ち寄り下さい。

CIL(自立生活センター)下関にはピア・カウンセラーが3人おります。2人が身体障碍者で、1人が精神障碍者です。ピア・カウンセラーは様々な研修を受けてカウンセリングを行ないます。予めお電話を頂ければ、お待ちしております。

話がわき道にそれました。元に戻しましょう。薬と言えば、私は薬を貯め込んだり、選んで飲むことはありません。ただ、非定型抗精神病薬は処方通り飲まないといけません。以前私が睡眠薬を間違えて服薬して、3日くらい寝たままでいたことを思い出します。そのことを後で母から聞いて恐ろしくなりました。睡眠薬は主治医の処方通りに服薬しましょう。処方通りに服薬していると症状の上がり下がりが無く・イライラしませんし、思考や行動に一貫した流れがあり、統合していることを感じます。

例えば、当事者から聞いた話では、「服薬するたびに自分が精神病者」と確認してしまう。

「服薬することで病気や障害に対処している。」「高血圧や糖尿病のような対処療法みたい。」と当事者が言っていました。ただ、私は統合失調症に罹患してもイライラせず落ち着いて地域社会生活を送れれば、自分のやりたいことをすることができます。服薬を遵守していれば、状態は落ち着いていますので、私は服薬を続けていくことを選択します。まあ、薬は私にとって杖のようなものです。なくてはならないもので、ないとうまく歩くことができません。服薬しないで調子を崩して入院するか、服薬を遵守して地域社会生活をするかと二者択一すれば、私は迷わず服薬する事を選びます。

自分の周りで少し例を考えてください。貴方の周りの当事者達が何時も落ち着いて生活しています。彼らは、何か工夫して地域社会生活をしているのでしょうか?彼らが、口をそろえて言う言葉があります。「特に変わった生活はしていません。服薬と通院を守っているだけです。」と答えるはずです。私が統合失調症に罹患して入院している前には、服薬をしてなかったことで状態を崩しています。服薬することで、状態の安定、再発の予防の効果があります。対処療法でも精神病と共存して地域社会生活することが出来れば、私は服薬を遵守します。

 

【編集後記】

当事者として服薬してみて、薬の効き目を考えてみると、確かに自分自身の精神状態が安定していることがわかります。非定型抗精神病薬のリスペリドンの薬効はあります。私の精神状態が安定していることは職場での仕事ぶりを見ていれば分かります。上司も同僚も私が落ち着いて仕事をしているのか、安心しています。服薬していて精神状態が安定していれば、何とか対人関係をとれ仕事ができます。しかし、ここまでになるまで一般就労して5年以上の時間が必要でした。何はともあれ、地域社会で生活でき、仕事ができ、それが僅かでも障害者福祉に役立てば、私はこのうえのない幸せを感じ・満足しています。

 ここでお断りしますが、薬の効き目は人によって用法・用量が違います。私の場合は、一般就労するまで薬を調整していました。個体間で服薬の用法用量は違います。薬を変えるのは、あくまで自己責任が自身にあることをお考え下さい。

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